はじめに
高齢者の筋肉量に関する情報を考察するうえで、サルコペニアという概念や筋力低下について理解することが重要です。本記事では、高齢者の筋肉量の平均について、サルコペニアの診断や、筋肉量を維持・向上させる方法について考察します。
高齢者の筋肉量の減少とサルコペニア
筋肉量の減少と加齢
加齢とともに筋肉量は減少していくことが一般的であり、特に40歳以降に顕著になります。筋肉量の減少はエネルギー消費の低下や脂肪の蓄積と関連しています。また、筋肉の右左のバランスも悪くなりがちであり、これが運動機能の低下やエネルギー代謝の低下につながります。
たんぱく質摂取量が多いほど筋肉量が高く、筋肉量維持に寄与することが明らかになっています。適切な栄養バランスや生活状況の管理が筋肉量維持に大切だとされています。
サルコペニアとは
サルコペニアは、加齢に伴って筋肉量が減少し、筋力や運動機能が低下する状態を指します。サルコペニアの診断には、骨格筋量指数(SMI)や握力、歩行速度などの指標が用いられます。
サルコペニアは、身体活動が少なく、血液中のアルブミン濃度が低く、喫煙者や入院歴が多い場合にリスクが高まることがわかっています。また、サルコペニアになると要介護化や死亡リスクが2倍程度高まることが示されています。
筋肉量を維持・向上させる方法
適切な運動
筋肉量を維持・向上させるためには、適切な運動を行うことが重要です。特に、抵抗運動や筋力トレーニングが筋肉量増加に効果的とされています。また、運動不足を避けるためにも、有酸素運動やウォーキングなどの日常的な運動も大切です。
運動不足によって筋肉量が減少した場合、回復するのに3倍以上の時間がかかるとされており、常に運動習慣を続けることが重要であることが示されています。
適切な栄養バランス
筋肉量を維持・増加させるためには、適切な栄養バランスを保つことが大切です。特に、たんぱく質は筋肉を構成する成分であり、適切な摂取量が筋肉量や力を維持する上で重要とされています。日本人の食事摂取基準では、70歳以上の人のBMIの標準値は21.5kg/平方メートル~24.9kg/平方メートルとされています。
適正な体重維持がサルコペニアを予防するとされており、栄養不足がサルコペニアの要因の1つとされています。食品多様性スコアを用いて栄養バランスをチェックし、たんぱく質を適正に摂取することが重要です。
筋肉量と骨粗鬆症の関係
サルコペニアと骨粗鬆症の関係も報告されており、高齢者の骨粗鬆症や骨折後の管理ではオステオサルコペニアという概念があります。筋肉量や骨密度の低下により、骨折リスクが高まることが懸念されます。
フレイルと筋肉量の関係
フレイルとは、身体的機能や認知機能の低下がみられる状態を指します。フレイルの段階を早期に察知し、適切なケアを行うことが介護予防につながるとされています。筋肉量の低下もフレイルを引き起こす要因の1つであるため、筋肉量を維持・増加させることがフレイルの管理にも重要とされています。
まとめ
高齢者の筋肉量の平均は、加齢とともに減少し、サルコペニアによって低下していきます。適切な運動と栄養バランスが筋肉量を維持・向上させるための重要な要素であり、骨粗鬆症やフレイルの予防にも寄与します。高齢者の筋肉量管理について理解し、適切なケアを行っていくことが、健康で長寿な生活を送るために重要です。